久方ぶりに時間ができ、記事を書く気分にもなったので、留学出発直前数日のドタバタ劇を振り返ってみようかと思う。

1. 留学出発前のモヤモヤ

これまで縁あって2回ほど海外に行く機会があった(機会があればいずれ記事を書きたい)が、1回目は1か月の語学留学、2回目は高校の「体験交換留学プログラム」のようなもので、今回の留学と比べながら白状するなら「留学体験版」「お楽しみバージョン」ともいえるものだった。それでもこれらの「ミニ留学」は間違いなく自分を変えた大きな経験であった。

ただ、今回の留学はそれらの機会とは違い、1年という個人的に想像のできない期間、初めての一人暮らし(しかも海外で)、初めての「大学卒業目的の」滞在といった小さな「初めて」を数多く背負っていた。それらのことをしきりに考えては「やっぱり行きたくないなぁ」と思うことも割と多かった。

そんな僕の内情を励ますためか、心配してくれてか、周りも2通りで反応してくる。
「きっとそのくらい何とかなるよ。ましてやフランス語もできるんでしょ?いけるさ」→ 多数派
「まじで気をつけてな。治安とか犯罪事件(スリとかテロとか)も起こるから」→ 友人や親類
いずれも自分への気遣いへの裏返しだから、ありがたく頂戴して気にしすぎないのがセオリーだが、留学直前になると一つ一つの言葉が自分の揺れる感情をさらに大いに揺さぶってくるのだ。

ここまで書くといかにも行きたくないように映ってしまうが、実は留学への期待と数年に一度のワクワクをも同時に味わってはいる。ただ、そのワクワクと匹敵するほど大きな不安も抱えていた。


2. 手荷物問題

出発前にあたふたした現実的な問題は持ち物だった。特にスーツケースの個数と重さが懸念点だった。

結論から言うと、国際線での荷物の重さの許容量は各乗客によって変わるので、ネットで調べるのではなく、メール(予約メール or チェックインメール)をくまなく確認し、なお不明ならば電話するのに尽きる。

Etihad Airlinesのサイトを参照すると、飛行機の預け荷物許容量は2個・20kgとの記載がある。
だが、20kg × 2(個のスーツケース)= 40kg なのか、はたまた10kg × 2 = 20kg なのか、
自分の中で解釈が分かれた。なら安全策と取って預け荷物20kg、余剰分は無理やり機内持ち込み手荷物に入れて何とか7kg以内にしようと画策したのだが、どうやってもオーバーする。最初はスーツケースを2個持っていく予定だったが、1gでも軽くするために1個はボストンバッグにしようかとさえ考えた。
1年の留学で20kgしか持ち込めないなら冬には寒風抹殺である。

Etihadbaggage

仕方ないので、成田空港 Etihad Airlines カウンターに問い合わせることになった。
エティハド航空、電話番号/連絡先/問い合わせ先 (mile-tokutoku.com)

結果、搭乗数日前に送られるオンラインチェックインに関するメールに記載があるはずとの回答だった。どきどきしながら確認してみると、しっかり目立たぬ文字で一番下に説明があるではないか。
Etihadbagage2

Checked baggage up to 35kg !!!!

杞憂だった。かなり詰められそうだ。スーツケース2個持っていけるし。
IMG_0178

人によっては冬用の衣類を別送しなくてもよいほどだ。(僕の場合は結局冬以降必要な荷物は別送手配したが、そこでも別の問題が...)

ただ、当初20kgで計算していたので、改めて入れる荷物と各スーツケースの内容物構成を考え直すことになった。

確実な情報が欲しいなら21世紀でも人に聞いた方がいいという当たり前の教訓を実感。


3. 別送品

1~2か月ほどの海外滞在なら手荷物のみで事足りるが、1年ともなると厄介なのが別送品問題だ。
送るにしても1kgごとに数千円ずつ値段が上がるので安易な選択はできない。
ちなみに、今回の別送品は冬用の衣類で多めに見積もって20kgだと考えた。
(以下の料金も20kgで計算している)

さらに、2022年夏時点で事を複雑にしていたのが、コロナ禍・ロシア・ウクライナ情勢である。
航空便(貨物スペース)の減少 + 燃料費高騰 = 物流逼迫
のトリプルスパイラルが行く手を阻む。さてどうするか。

様々なサービスを比較検討した結果、個人ユーザーにとっては日本郵便の国際郵便あるいはヤマト運輸の国際宅急便が料金対配達時間比で最適という結論に至り、後日国際郵便の船便を利用した。
以下が問い合わせと調査の顛末。せっかくだから長くなるが紹介してみる。(2022年現在)

(1) 日通 留学パック
費用と輸送時間を抑え、安心感を得たい僕は、当初日通の海外留学プランを検討した。
留学パック|【日本通運の海外引越】海外赴任、留学のお引越しは日本通運 (nittsu.co.jp)
日本→フランスで52,500円

ただ、対象地域がパリに限定されており、その他の都市への配送は別途連絡が必要とのこと。僕の目的地はレンヌだったので、仕方なく電話で問い合わせることにした。
不可解だったのは、「ナビダイヤルでお繋ぎ」される上、「込み合っています、別の時間におかけ直しください」という自動アナウンスが流れてから数秒で自動的に切れる挙動だ。繋がるまで待つことさえ許されない仕様には困り果てた。

7,8回後に奇跡的にオペレーターにつながったのはいいが、パリ以外に送るには現状15万円以上という見積もりを出され、今後さらに高くなる可能性もあるとの返答。残念だが、即候補から外した。

(2) ヤマト運輸 留学宅急便
日通よりも高いというイメージだったが、フランスの主要都市に対応しているので検討余地があった。
だが、2022年4月1日から受付を一時中止しているとのこと。料金さえ確認できない。無念。
留学宅急便 | クロネコヤマトの海外引越 | ヤマト運輸株式会社 (kuronekoyamato.co.jp)

「留学」と冠のつくプランは概ね使えないことを悟り、通常の運送サービスを思いつく限り調べた。
費用や日数、評判は各社バラバラである。また、留学サービスとは違って利用者自身で invoice(税関申告書類 / 内容物説明書類)を英語で書く必要があるため少し難易度が高い。
海外のサービスは配達所要時間は2~3日である一方高額かつ会員登録が必須で、輸送時の箱の寸法が運賃に反映されることもあり使いにくそう。

(3) 日本郵便 国際郵便
EMS : 2日 / 44,500円 → 航空便小包 : 8日 / 39,200円 → 船便小包 : 1~3か月 / 11,900円
(2022年現在サービス停止中 SAL便 : 2週間前後 / 22,600円)
インボイスのガイド : ありインボイス作成ツール まで用意されている)
利点 : 全プランで追跡サービスが付く、船便を選べば他社より圧倒的に安く送れる。
懸念点 : 見かけ上日本郵便のサービスだが、フランス到着後はフランス国内でも評判が今一つの colissimo に荷物の運命が委ねられる点が不安。

(4) ヤマト運輸 国際宅急便
配達日数 : 最大6日 / 料金 : 23,950円(関税は別途支払い必要)
インボイスのガイド :  あり 
利点 : おなじみのヤマト運輸の安心感、インボイスが書きやすいデザイン、運賃と配達日数
懸念点 : 各国の協力会社がお届けという説明の通り、フランス上陸後の運送業者が不明。場合により「空港まで引き取りにきていただく場合があります」とのこと。最悪パリの空港に行くのは流石に...

(5) DHL Express
重量 : 20kg / 箱寸法 : 75cm × 35cm × 35cm / 17時までの発送で2日後の正午までに配達 : 111,138円
インボイスのガイド : あるが微妙(My DHL+への登録必須、説明も個人の初心者に対しては不足)

(6) FedEx International Economy
重量 : 20kg / 箱寸法 : 75cm × 35cm × 35cm / 3日後の正午までに配達 : 75,368円
インボイスのガイド : 一応ある(全部英語かつアカウント作成が必要)